トレーニングの方針
COCOでは、イヌとトレーニングすることは元より、飼い主様に働きかけてお伝えすることを重視しています。
飼い主様に何故これをしているのか分かっていただきたい。前よりもっとイヌとコミュニケーションが取れるようになっていただきたいからです。
COCOではヨーロッパから持ち込まれた動物行動学に基づくトレーニング方法を取り入れてます。
オモチャやトリーツを使いイヌのやる気を引き出して良い行動につなげていくモチベーショントレーニングと呼んでいます。
この方法の良い点は、イヌに考えさせて選択肢を与え、人は望んでいた行動をとった瞬間にイヌを褒めることでそのよい行動を増やし、ポジディブな経験を重ねることでイヌ自身の理解を促すことにあります。
悪い点は、望む結果が得られるまでに比較的時間がかかることです。
COCOはこのやり方で飼い主様と愛犬の信頼関係の絆をより強くするお手伝いをしたいと思っています。
子供の頃、実家にイヌを預かったことがありこの時の経験がドッグトレーニングの原体験です。
外飼いの時代、裏庭につながれたイヌは、他のイヌや人が塀の向こうを通るたびに吠えました。
飼い主は「吠えたら新聞紙を丸めてポンと叩く」と言い残し、私はしつけ係に任命されました。
飼い主が去って程なくシェルティーの「ラッキー」(イヌの名前)が吠えたので夕刊を丸めて外に行きポンと叩きました。
ビックリはしましたが、まったく効果がありません。夕刊を朝刊にしても、ポンよりも強くしてもダメです。
返ってわたしに吠えるようになりました。イヌを教育するのは不可能だと思い3日目に投げ出しました。
今考えるとこれで吠えが減ることはまずありません。後日会った「ラッキー」は電気ショックの首輪をつけられていました。
酷いことをすると思いましたが、当時はしつけの情報が少なかったのも確かですし、専門家に教わったとのことでした。
「ラッキー」に何が起きていたのか? 警戒して吠えること、それを重ねることで習慣化したと思えます。
このイヌは庭に取り残され、警戒の声を上げても飼い主の助けはなく、一人で立ち向かっていました。
通行人に吠える。飼い主から見て頭の痛い行動は、イヌ自身には自然な・正当な行動です。文字の通りイヌは吠えるものです。
通行人に吠えた「ラッキー」はその警戒行動を終えており、結果的に通行人は立ち去ったのでイヌにとって大成功しています。
もし吠えるのをやめてもらいたいなら、吠えた後に叱るより、吠える前に働きかける方が効果的だと考えます。
新聞紙で叩かれた「ラッキー」は叱られていることは分かったと思いますが、なぜ叱られるのかは理解したと思えません。
何故なら一向に改善しなかったからです。
人間ではないので、子供が出てきて自分をたたいても、ちょっと前に通行人に吠えたことと結びつかないはずです。
悪くすると「通行人が通る」=「子供に訳もなく叩かれる」と結びつき、より強く通行人を排除しようとする可能性すらあります。
方法の一つとして、「ラッキー」を家に迎え入れて家族と同様に暮らし、外から受ける刺激を調整しながら安心させて吠えない経験をしながら警戒する必要がないことを教えてあげることが出来たらよかったと思います。